2019年05月12日

東京から西に望む山々2

以前、東京から西に望む山々について書いたことがある(「東京から西に望む山々」)。今でも奥多摩や丹沢の山々や、丹沢の上に顔を出す富士山は結構な頻度で望めるが、奥多摩の左手に続く大菩薩の峰々と丹沢の山々の間の中央線の走る谷筋の向こうに、甲府盆地越しに聳える南アルプスは、余程空気の澄んだ季節でないと視認するのは難しい。以前紹介したのも、冬晴れの日の展望であった。手前の奥多摩や丹沢の山々も白くはなっているものの、全体としては森林の青が勝っている。それに対し、甲府盆地越しに望む南アルプスの峰々は、まさに白銀に輝くと表現するに相応しい神々しいばかりの白さが快晴の青空に映えるのである。
そんな冬の展望が印象に残っていたせいか、他の季節の展望は全く期待していなかった。初夏のしかもどんよりと曇った日である。奥多摩や富士山さえ明瞭な輪郭が捉えられるとは思っていなかった。要するに山の展望は全く期待していなかったのだった。ところが、うれしい誤算もあるもので、連休後の、どんよりと曇った太陽も顔を出していない朝、信じられないような展望に遭遇したのである。

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奥多摩遠望.jpeg
〔奥多摩遠望:左寄りの双耳峰が三頭山、右端手前の鞍の形が大岳山、その左の手前の三角形が御前山、中央遠景の緩やかな三角形が奥秩父の国師ヶ岳。なお、以下の写真はいずれも手前の近景をカットしてあります〕
一つはまずなんといっても奥多摩の山々である。大岳山、御前山、三頭山の奥多摩を代表する三山が明瞭に輪郭を現わしている。この季節は奥多摩方面が望めても、視界がスッキリしないことが多いため、後ろに高山がなくしかも双耳峰が明瞭な三頭山は容易に見分けられても、うしろに飛龍山から雲取山へのより高い山々を背景にする御前山の三角形や、大岳山の鞍の形をした特徴ある姿を明瞭に見分けられないことも多い。それがハッキリと区別できる形で望めたのである。これだけでも大収穫である。

白根三山遠望.jpeg
〔白根三山遠望:中央の三角形が間ノ岳、その右手前の青い三角形の左肩に僅かに頂が見えるのが北岳、左の手前の山ノ上に聳えるのが農鳥岳〕
目を左へ移していくと、御前山と三頭山の間にすっと三角形に立ち上がる山が遠望できる。これは奥秩父の国師ヶ岳のようだ。三頭山から左には、中央線沿線の山々、扇山などが望める。そしてそれらが低く途切れた向こうに、なんと南アルプスの山々が、この季節でもまだ全面に雪を頂く姿でハッキリと望めたのである。これが二つ目の大収穫である。
以前紹介した際には、その中央に三角形の美しい姿を見せる山は北岳ではないかと書いた。しかし、少し前に紹介した(「平城宮跡から望む盆地南部の山々」)展望図作成機能を持つアプリ(「スーパー地形」)を使って調べてみたところ、これは北岳ではなく、白根三山の一つではあるがどうやら北岳ではなく、間ノ岳であることがわかった。北岳は、手前の山々に重なって、ギリギリ山頂が顔を出しているかどうかという位置のようだ。それに対し、白根三山のもう一つのピーク農鳥岳は、間ノ岳の左にその姿を見せてくれているのだった。山名の同定には変更が必要となった訣だが、全く期待していなかったこの展望に恵まれたのはまさに感動以外の何物でもなかった。

南アルプスの山々は、三つ峠を皮切りにせり上がり丹沢へと続く稜線で隠されていくが、(隠れる前に塩見岳、蝙蝠岳も見えているらしいのだが、この日は視認できなかった)それを突き抜けて聳えるのが富士山である。丹沢から突き出た部分は全面に真っ白だが、どんよりと曇った天気のもと、灰色にくすんで見えていた。
ところがである。その灰色の富士山の山頂の左端が白く光り始めた。何事か? すると右端も光り始めたではないか! そうこうするうちに、それぞれの明るい部分が次第に広がってつながり、一本になったやや左下がりの灰色の部分との経界線は、徐々に下がり始めてゆく。白く輝く部分が少しずつ広がってゆくのである。富士山の直上の雲が移動して、東から射す朝日が当たり始めたのだろう。それを見ているぼくのいる場所は、相変わらずどんよりと曇ったままで、太陽がどこにいるのかさえわからない状態が続いているのだった。
最終的には丹沢から顔を覗かせている富士山の全体が白く輝くようになったが、手前の丹沢には日は当たっていない。まだ朝方で太陽はかなり斜めから照らしていたはずだから、丹沢の朝日を遮る雲が丹沢よりかなり東の平野部分にあって、富士山の位置から見ると、既にこの雲より上まで太陽は昇っているということなのだろう。実際にはそれぞれの場所の標高も加味しなくてはならないだろう。そんなことを考えていると、何だか不思議な感覚を覚えるのだった。

山頂から輝き始めた富士山.jpeg
〔山頂から輝き始めた富士山〕

徐々に広がる白い赫き.jpeg
〔徐々に広がる白い輝き〕


ますます輝きを増す富士山.jpeg
〔ますます輝きを増す富士山〕

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〔さらに半分まで輝く富士山〕

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〔丹沢山塊の上に輝く富士山〕

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〔夕焼けの奥多摩遠望〕

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〔夕焼けの奥多摩・大菩薩遠望〕
この日、富士山を含め遠方の山々は、このあと雲の中にその姿を隠してしまい、もう2度と顔を出すことはなかった。それに対し、奥多摩方面の山々は夕方の逆光にもかかわらず、夕焼けの中にその明瞭な輪郭を示してくれた。これも偶然なのだが、空は赤く夕焼けているのに、夕陽そのものは西の空を多く帯状の雲に概ねその姿を隠していた。そのため奥多摩の山々の青いシルエットが、赤い夕空を背景に、比較的明瞭に浮かび上がることになったのだろう。
ラベル: 東京 季節
posted by あきちゃん at 23:52| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする