2016年08月27日

憧れの釈迦ヶ岳を訪れる

大峰奥駈道の釈迦ヶ岳(1,799m)に登った。待望の山頂である。大峰・台高の山々を訪れるようになって以来、その名は親しいものにはなっていた。しかし、その風貌を意識し始めるようになったのは2年前の冬、小峠山から見た雪を頂く神々しいまでの山容に魅せられてからのことである。又剱山から、和佐又山から、清水ヶ峰から、ヒバンダーラから、小橡山から、涅槃岳から、そしてこの5月の南奥駈縦走路から、先日の日出ヶ岳から……、幾度あの山頂に立ちたいと思ってきたことか。
標高は1,800mに僅かに足りず、大峰の最高峰1,915mの八経ヶ岳、1,895mの弥山や1,894mの明星ヶ岳、あるいは1,805mの仏生ヶ岳など、奥駈道の他の山々にその席を譲る。しかし、その端正な風貌という点では大峰随一というのが大方の見方だろう。

          §           §           §

十津川側の旭口から旭ダムをめざし、さらに木屋谷林道を登り詰め、新登山口まで上がる。ここが既に1,300m近いので、山頂までの標高差は500m余りとなる。大峰の秀峰への日帰りを可能にするこの林道の効用は計り知れない。
初め暫く急登が続くが、尾根に出て左に曲がると傾斜が緩み、明るく眺望に恵まれた稜線歩きとなる。右手前方には、大日岳の鋭鋒が望まれるようになる。独特の明るさをもつ稜線である。この稜線の雰囲気はどう表現したらよいのだろう。この5月に歩いた南奥駈の稜線がまさにこうだった。修行の道としての奥駈のイメージとはおよそかけ離れた、強いていうなら、天上の楽園といってよい雰囲気をもつのである。人々を寄せ付けぬ峨々たる山々の奥に広がる別天地といえようか(これとよく似た雰囲気をもつところに、鉄山直下の草原がある)。
奥深い南奥駈の稜線はそう簡単には味わえない。その意味で、この新登山口から古田の森を経て釈迦ヶ岳に至る稜線は、南奥駈そっくりのこの別世界を味わいながら、かつ日帰りで釈迦ヶ岳に達することのできる、まさに奥駈道のよさがギュッと詰まったきわめて優れたコースといってよいだろう。千丈平から山頂までは結構なアルバイトのはずだが、思いの外に気持ちよく登ることができる。
奥駈道の稜線伝い以外に釈迦ヶ岳に至るコースとしては、東側の前鬼から太古の辻に登り、ここから大日岳を越えて稜線を辿るコースがあるが、これは日帰りは無理だろう。前鬼口からの長い林道歩きと、太古の辻の別天地に抜けるまでの深く険しい登りも待っている。それに比べると、新登山口からのコースは、一気に別天地の少し下まで連れて行ってくれ、いきなり奥駈けの核心から歩き始められるという、まことに至れり尽くせりの道なのである。
幸い今回は天気にも恵まれた。釈迦ヶ岳山頂からの展望は無論のことだが、左手に弥山・八経、七面山の岩壁、右手に大日岳から南奥駈の峰々の眺望に恵まれつつ、ちょっと傾いだ姿を見せる正面の釈迦ヶ岳をめざす往路の軽快な稜線歩き、そしてこれらの大展望を眼下に望みつつ降る帰路の爽快さは、まさになにものにも代え難い。
同行した家内にとっては今回は二度目のコースだったが、家内には一度荒天と強風のために登頂を断念し、古田の森から引き返した経験がある。高木が育たないほどに、風当たりもまた強いのである。それを思えば初めての登頂で宿願を果たせたのはまことに幸運で、安定した夏空のもと、これ以上の贅沢な山旅はないといえる、山の日の一日を送ることができたのだった。
釈迦ヶ岳をめざす.jpg
〔釈迦ヶ岳をめざす〕

釈迦ヶ岳山頂の釈迦如来像と弥山・八経ヶ岳.jpg
〔釈迦ヶ岳山頂の釈迦如来像と弥山・八経ヶ岳〕

釈迦ヶ岳から北側の展望.jpg
〔釈迦ヶ岳から北側の展望(パノラマ)〕

釈迦ヶ岳から南側の展望.jpg
〔釈迦ヶ岳から南側の展望(パノラマ)〕

展望の稜線を下る(左上に台形の山容が特徴的な南奥駈の笠捨山が見える).jpg
〔展望の稜線を下る(左上に台形の山容が特徴的な南奥駈の笠捨山が見える)〕

釈迦ヶ岳・大日岳を振り返る.jpg
〔釈迦ヶ岳・大日岳を振り返る〕
ラベル:季節 奈良
posted by あきちゃん at 00:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください

この記事へのトラックバック