2017年05月09日

昨年と同じ日同じ山の違う景色

昨年と同じ日に唐笠山を訪れた。1年前に同じコースで登っているのに、とんと記憶が定かでない。どこでお昼を食べたかすら覚えていない。現地に行ってみれば思い出すのに、行くまで記憶に上って来ないのである。
この景色を忘れていたのか……。東に開けた地点に腰を下ろして弁当を広げながら、おかしやら情けないやら。でも、この展望を見られるのなら、もう何もかも忘れても構わない、そんな気持ちになるほどの眺望だった。
行く手の道に沿って、右側に180度の展望が開ける。稲村ヶ岳が指呼の間に見え、手前を蹴られているが、バリゴヤがギザギザの頭だけちょこっと顔を出しているのがかえって異様である。手前に赤い鉄塔が目印の天和山から滝山への尾根。アイゼンを付けて二度登った思い出の山である。奥には頂仙岳から巨大な弥山に向けてせり上がって行く山塊、そして八経ヶ岳。さらに右手には釈迦ヶ岳らしき高峰も姿を見せている。なつかしい山々!唐笠山への道から大峰の山々を望む.jpg
〔唐笠山への道から大峰の山々を望む〕

でも、昨年とどこかが違う。何が異なるのだろう……。そう、緑色の淡さである。昨年はもっと緑が濃かった。新緑というよりは初夏に近い生命力の満ち溢れていた。それに対し今年は、緑というよりも黄緑に近く、もっと景色がやわらかい。それに、そこここに点在する薄桃色! そう、今年はまだヤマザクラが咲き残っているのである。まだまだ春真っ盛りなのだ。新幹線から見たあのヤマザクラがポッと点る光景を空から眺めている……。ヤマザクラが点る山々、今年はまだアセビも満開.jpg
〔ヤマザクラが点る山々、今年はまだアセビも満開〕

異なるのはそれだけではなかった。まだ何かが昨年と違う。見慣れていると思っていた景色だが、昨年はあの弥山・八経の高峰の頂は雲をかぶっていたのだ。しかも山襞は今年と違って、うっすらと白色を帯びていたはずだった。緑の濃さとは対照的に、昨年は直前に訪れた寒気によって、あろうことか雪化粧をしていたのである。昨年のいわばちぐはくな自然の造形とは異なって(そのちぐはぐさも自然のなせるわざそのものには違いない)、今年は遅い季節の歩みそのままに彩られているのだった。
考えてみれば、昨年は天辻峠手前の土砂崩れによる通行止めのため、天川経由で訪れたのであった。今年は、まだ復旧工事は続いているものの、開通した正規のルートによって行って来ることができた。2年続きで同じ日に同じ山に登る、年による季節の歩みの差によって、これほどにも違う景色が出現するとは! 当たり前のことではあるものの、自然の造形の不思議さに、改めて心を打たれたのだった。
タグ:季節 奈良
posted by あきちゃん at 03:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | 更新情報をチェックする
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