2018年06月23日

平城宮跡から望む盆地南部の山々

山に登る楽しみの一つが、眺望であることは疑いのない事実だろう。悪天なら悪天でまた山の楽しさはあり、元々眺望のない山にもそれぞれに好さはあるものだが、眺望がありかつ好天に恵まれるなら、山の楽しみは倍加される。加えて、それぞれの山の同定ができれば、その楽しさはさらに深まるというものである。
ところが、実際に眺望を前にして地図とにらめっこをしても、自信をもってあれがどこの山、これがどこの山と、という具合に山の名を決めていくのはなかなか容易なことではない。
一つでも決め手になる山があれば、そこを基準に左右にいわば芋づる式に同定できそうなものだが、実際にはそれとても結構難易度は高いのである。山を凝視してしまうせいか、離れて見える山でも、地図上では案外近くに隣り合っていることもある。2点が決まれば何とか辛うじて同定は進むことになるが、山の奥行きの感覚をつかむためのもう1点が特定できるとなおいいのだが、実際にはそう簡単にはいかない。

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平城宮跡から、空気の澄んだ日ならば大和盆地南部の山々を望めることは、前にも紹介した。必ずしも季節に関わりはないものの、なかなかよいコンディションの日にはめぐり会えないものだが、先日たまたま夕方一条通りを車で通りかかって、内裏のあたりから南に透明なシルエットが浮かび上がっているのに遭遇した。快晴というわけではなく、空が白っぽかったにもかかわらず、山の輪郭がはっきり見えるのである。まだ日暮れには間があったので、早速自転車を走らせて、眺望をカメラに収めに行った。
平城宮跡内裏付近からの大和盆地南部の山々の眺望.jpg
〔平城宮跡内裏付近からの大和盆地南部の山々の眺望〕

一番高く見える牛の背中のような山は、大峰の最高峰八経ヶ岳の手前の弥山に違いない。その左のギザギザは、稲村ヶ岳かその南のバリゴヤノ頭かと見当を付ける。そうすると、その左には山上ヶ岳が見えているはずである。行者還岳や大普賢岳は見えるだろうか。地理院地図をあれこれ眺め回しても微妙である。大天井岳は手前に重なっているのだろうか。厄介なのは弥山より右手の西に位置する美しい稜線を構成する山々である。美しい弧を描く吊り尾根が見え、いつも気になっているのだが(この吊り尾根は秋篠川添いからもはっきりの視認できる)、金剛山の大きな高まりが始まるまでの間の山々の同定は、とても地図だけを頼りにしていたのでは捗りそうにない。キーになるこれという山が決められないのである。昨年登った果無山脈などが視界に入ってくるのかどうかも気になるところだ。しかし、考えてみれば、天辻峠を南に越えれば、川はみな南に流れるのである。分水嶺の向こう側の山々がそう簡単に見えるとしたら変な話である。

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結局一旦は同定を諦めざる得なかったのだが、最近の技術の進歩はめざましいものがあり、実際の景色に当てはめると、山名を表示してくれるアプリがあることは教えてもらったことがある。もしかしたら、地図上での山名同定のアプリがないかどうか、せめて見える山、見えない山だけでも教えてくれるものがないかと思って、アップルストアで探してみた。
予想は的中、まさに考えていた通りのことをやってくれるアプリにめぐり会ったのである。それは「地形を感じる地図アプリ スーパー地形」というアプリの「パノラマ展望図」という機能である。任意の地点を選択して、対地高度、描画距離、高さ強調を設定して、起動すると、ほぼ瞬時にその地点からの360度の展望と、ここがこのアプリのこの機能のすごいところなのだが、主要な山名を表示してくれるのである。表示されている山名をタップすると、今度はその山からの展望にたちどころに移動するという離れ業もやってのけてくれる。
これはこのアプリの機能の実はごく一部に過ぎなくて、他の機能はまだ一切試していないけれども、これだけでもぼくにとっては充分価値のあるアプリである。取り敢えず3日間は無料で使え、「パノラマ展望図」はそれを過ぎると制限される機能に入ってしまっているけれども、960円払えばこの機能を期限なしで入手することができる。本当にすごい時代になったものである。

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このアプリを使って、平城宮第二次大極殿の基壇からの見える山々の眺望を確かめてみた。弥山は予想通りであった。その右肩に明星ヶ岳が顔を出しているようだ。弥山の左のギザギザは稲村ヶ岳で、バリゴヤノ頭は見えているようだが奥に低くしか現れないことになっている。山上ヶ岳はほぼ予想通りだったが、そのさらに左に大普賢岳が位置しているのには驚いた。山上ヶ岳の真裏に重なっているかと考えていたのだが、予想外の結果だった。
弥山の右手の三角が頂仙岳であるのも確認できたが、その先の金剛山・葛城山に連なる遠方の山々については、吊り尾根上に見えていた右側が天和山、そこから西(右)へ天狗倉山、高城山、白石山、白六山、唐笠山、乗鞍岳、伯母子岳、荒神岳、七霞山、陣ヶ峰などと続いて、金剛・葛城の巨大な高まりが始まっていた。ちょうど大峰から高野山に連なる山塊である。天和山や唐笠山、荒神岳、七霞山はその頂をきわめたことのあるなつかしい山たちである。
いやもうなんといおうか、こうしてIphone上のアプリによって、一つの頂上をきわめたくらいの感動を味わったのである。第二次大極殿基壇から撮った眺望に山名を加えてみたもの、及び復元された第一次大極殿の南、復元工事の始まりつつある大極殿院南門の前から撮影した大峰主脈方面の写真に同様に山名を加えてみたものを載せておく。いずれも「スーパー地形」の「パノラマ展望図」機能の成果に基づいて検討した結果である。なお、試みにこれらがどの辺りに位置する山なのかを、地理院地図に星印を加えて表示してみたものも載せておく。直線距離で平城宮跡から弥山までは、概ね60㎞弱である。
第二次大極殿の基壇から盆地南部の山々を望む2.jpg
〔平城宮跡第二次大極殿の基壇から盆地南部の山々を望む〕

平城宮第一次大極殿院南門前から大峰山要部を望む.jpg
〔平城宮第一次大極殿院南門前から大峰山要部を望む〕

平城宮跡から望める主な大峰方面の山々.jpg
〔平城宮跡から望める主な大峰方面の山々〈地理院地図による〉〕
ラベル: 奈良
posted by あきちゃん at 22:11| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする
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